平成15年度 第13回秋田県高等学校産業教育フェア

研究発表報告書


学校名秋田県立金足農業高等学校
学科・学年(グループ人数)生物資源科2年(4)名
指 導 者 氏 名伊東公士、奈良隆、近江広和
生 徒 氏 名渡邉江李佳、小林 愛
奈良みどり、保坂芙美子
 
 
1.研究テーマ設定の理由
 
 
 私たち草花専攻班は、さまざまな草花、ベゴニア・センパフローレンス、サルビア、マリーゴールド、パンジー、キンギョソウ、ハボタン、八重咲きペチュニア、球根ベゴニア、シクラメン、サイネリアなどを育てていますが、生花は、その命が短くまもなく枯れてしまいます。そこで、どうしたらよいかメンバーで相談しました。「そうだ、ドライフラワーにすれば、きれいな花を長く楽しむことができる。」ということになり、平成14年度は、「Let’ドライフラワー」というタイトルで、ドライフラワー作りに挑戦してみました。
 また、平成15年2月には、社会人講師の先生の指導で「フラワーアレンジメント」の講習会があり、草花の飾り方について学びました。
 今年度、平成15年度になり、どういう内容で課題研究をやるか、みんなで考えました。その結果、インターネットで紹介されていた花炭同好会の存在がきっかけとなり、私たちも「花炭」作りに挑戦してみることにしました。そして、出来上がった「花炭」を、ドライフラワーと一緒に飾り、「フラワーアレンジメント」に挑戦してみることにしました。

2.実践研究の経過と成果

 
目的は
@ドライフラワ−に適する花を探してみる。
Aドライフラワ−を作る方法には、自然乾燥法やシリカゲル法がありますが、その違いを調べてみる。
B花炭を、さまざまな材料を使って、作ってみる。
C花びらや、葉、実など、種類の違う材料について、それぞれがうまくできるように工夫してみる。
の4点としました。
 
 
研究方法(1)

まず、ドライフラワ−の材料にするため、さまざまな草花を育ててみました。
 バラの4品種、フレンチレ−ス、プレイボ−イ、ニコールおよびマガリ、ダリア、ヒマワリ、グラジオラス、アスター、ガーベラ、センニチコウなどを鉢物にして育てましたが、何回も採集できるバラやガーベラについては、その管理方法についてくわしく学習し、できるだけ多くの花が採集できるように育てることができたせいか、栽培につい少し自信がもてるようになりました。

 
研究方法(2)

次の二つのやり方で、ドライフラワーを作りに挑戦しました。
 一つ目は、「自然乾燥法」です。咲いた花を、茎をつけて15〜20cmくらいに切り、数本を束ねて、温室の奥の部屋や草花部門の建物の中に陰干ししました。なお、茎  が短い場合は、細いワイヤーを茎代わりにしました。
 二つ目の方法は、「シリカゲル法」です。作業の順序に説明します。

@花のがくを残して、園芸用のハサミで切る。
Aがくの中央に針金(ワイヤー)をさす。
B花についた水気をよくふき取る。
C密閉容器などに入れ、シリカゲルを花がつかるまで丁寧に入れる。
 この時、花びらが開かないようにする。
Dふたをして、一週間ほど放置します。
E一週間後、シリカゲルから少しずつ筆などを使いながら取り出します。
 この時、花びらが取れないように注意する。

 
研究方法(3)

次に、「花炭」作りに挑戦してみました。
 材料は、バラの開花状態の花とつぼみ、マ リーゴールド、キンギョソウ、ペチュニアツユクサなどの花のほか、松ぼっくり、イチョウの葉、タケノコ、鷹の爪、ソラマメ、パイナップルなどを使いました。

 
 さあ、「花炭」作りに挑戦です。

@お菓子などの四角い空き缶を準備します。
A蓋に4カ所程度、釘で穴を開けます。
B花炭の材料をアルミホイルで包み、直接缶に触れないようにします。


C缶に材料を入れて蓋をし、針金でしばります。新しい缶の場合、蓋が飛ぶ可能性があるのと、加熱によって蓋がそりかえり空気が入るのを防ぐためです。
Dその缶をカセットコンロにかけます。
E煙が出なくなったら、蓋の穴に釘を戻し密閉します。
 
F火から降ろし、完全に冷めるまで待ってから蓋を開け、中身を取り出します。冷めないうちに蓋を開けると、空気が入り中の材料が燃えだしてしまうことがあるからです。
G「花炭」の出来上がりです。
Hこれを、あらかじめ作っておいたドライフラワーと一緒に飾り、アレンジメントを楽しむことになります。
 今回の「花炭」作りで工夫した点は、材料 をホイルで包み、缶の中に入れるわけですが、ホイルに包む際、材料を本校作物部産のもみ殻に包んでから焼くという点です。
 なお、このもみ殻は、くん炭になり役立つことになります。
 
結果(1)

 花の収穫は、満開で収穫すると、ドライフラワー作成途中で花びらが落ちてしまったので、5〜6分咲きで行いました。その結果、作成途中で花びらが落ちたりすることはありませんでした。

 
結果(2)

 自然乾燥法の場合、湿気が多かったせいか、乾燥させたら色がさめてしまい、結果的に失敗が多かった。ただし、センニチコウだけは、成功しました。
 シリカゲル法の場合、ガーベラ、アスター、ヒマワリなどは、色がはっきり出たが、花びらは散ってしまいました。バラ、グラジオラスは、花が大きかったので、丈夫で色もきれいでした。

 
結果(3)

「花炭」作りについては、
@開花状態のバラは、形が崩れてしまった。ただし、つぼみは、うまくできました。
Aマリーゴールド、ペチュニア、ツユクサなどの花は、もみ殻使用の効果であると思いますが、うまくできました。
B花以外の、松ぼっくり、タケノコ、鷹の爪、ソラマメ、イチョウの葉は、それほど気をつかわなくても、うまくできました。しかし、パイナップルの場合、焼くのに時間もかかりうまくできませんでした。

結果(4)

 「花炭」の素材をアルミホイルで包んだわけであるが、その中にもみ殻を入れて焼くと、くん炭の中で焼くことになり、ゆっくりと、むらなく焼けました。結果的に、いいものができました。

 
 以上の結果をまとめてみますと、ドライフラワーの場合、
@素材の花は、満開前のものがいいことがわかりました。
A自然乾燥よりも、シリカゲル法の成功率が高くなりました。
B落ちてしまった花びらは、ボンドなどの接着剤で修復できることがわかりました。

また、花炭の場合
C素材は、同じ種類のもの同士で作った方がよいことがわかりました。
D花炭は、花の場合はつぼみ状態のものがよくできることがわかりました。
E松ぼっくり、鷹の爪は、簡単かつきれいにできることがわかりました。
F花炭の素材をもみ殻ど包んで焼くと、たいへんうまくできました。

 次に、「ドライフラワー」と「花炭」および「花炭」だけのアレンジメント作品を4点紹介します。これを額などに納めて、観賞することになります。

 
3.今後の計画
 
反省および今後の課題
@初めてドライフラワーを作ってみて、手探りであったので、大変だと実感しました。
A花の収穫時期やシリカゲルの使用量について、とまどうことが多くありました。
Bこれらの経験を生かし、今度はブーケやリースを作ってみたいと考えています。
C花炭は手軽に作れることがわかりましたが、種類ごとに分けて作る必要があります。
D四角い金属の空き箱の中に、さらにジュースの空き缶を入れて焼いてみたが、その回数を増やして成功率を高めたい。
Eできあがった花炭の保存のためのスプレーがあるが、その使用方法の工夫がぜひ必要である。
Fドライフラワーと花炭のアレンジメントを実施してみたが、飾り方の工夫が必要となります。
 
4.地域社会への貢献の状況(または見通し)

 ドライフラワーの作成法には、自然乾燥法およびシリカゲル法があったが、これらは器具をそろえるとともに、経験を積めばうまくいくので、学校で地域のみなさんと一緒に作ることも考えている。また、花炭は手軽に作れることがわかったので、この方法をどんどん普及していきたい。